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らいふのもり

AIと医療

AIという言葉をよく聞くようになってきましたが、AIとはいうまでもなく人工知能(artificial intelligence)のことであり、人間の知的能力をコンピュータ上で実現するシステムのことです。
2000年以降のディープラーニング(深層学習)やビッグデータの登場とともに、様々な分野での利用が加速しています。自動車の自動運転、将棋などのソフトが身近なところですが、医療分野もAIによって大きくかわる可能性があります。

そこで、今回、AIと医療について考えてみます。
一言にAIと医療といっても、いろいろな分野での活用が進んでいます。医療診断/画像診断、ゲノム医療、創薬などです。このなかで、特に、医療診断は、診断にかかわるものであり、一般に関心が高いものと思います。

医療診断のAI利用では、2016年、東京大学医科学研究所が、米IBMの「Watson(ワトソン)」を活用して、治療に難航していた急性骨髄性白血病の患者の遺伝子情報の解析から、別の特殊なタイプの白血病の可能性があることが分かり、これを参考にして医師が治療方針を変更し、患者さんが快方に向かったということが報道されました。覚えている方も多いと思います。なお、ワトソンは、ビジネスの現場で、業務プロセスの効率化や高付加価値化のために活用されており、日本でも多くの会社で利用されているようです。
ワトソン以外にも、多くの診断支援システムが開発されてきています。また、画像診断もAIが得意とするところであり、CT画像診断などについて研究が活発に行われており、診断支援システムは今後ますます利用が進むと思われます。

AIの診断での利用における大きな課題は「責任問題」です。薬機法では、薬や医療機器は国が定めた品質管理基準を満たす必要があり、リスクの大きなものはしばる必要があります。ただし、いま想定されているAIの診断への利用は、あくまで医師が診断する際に、参考となる情報を提示する診断支援システムです。提示される情報は一つの答えではなく、いくつかの可能性を示すものであり、医師が介在し最終判断をするため、相対的にリスクは少なく、「責任問題」が生じる可能性は低いと思われます。そのため、案外、早く普及が進むかもしれません。診療科によって、AI診断を利用しやすい科や利用しにくい科の違いはあると思われ、精神科などは、やはり医師が診ないと難しいという意見もあるようです。

しかし、いずれにしろ、医療へのAIの利用は進んでくることは確実です。AIとは直接関係しませんが、これにより、巷にいわれている医師の過重労働が改善されたり、一部私立医科大学の入試における不当な女性差別の文化がなくなれば、これも社会的には重要なAIの貢献といえるかもしれません。

※ 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

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