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らいふのもり

ホルマリンの誤投与

今週、ニュースで、数年前の病院での内視鏡検査の際の患者への「ホルマリン」の誤投与に関して報道されていました。

この件以外にも、病院等でのホルマリンの誤投与の問題は起きているようです。病院では、病理検査等のためにホルマリンが保管されており、現場での取り違いによることが多いと思われます。ホルマリンに限らず、有害物質を取り扱う際は、十分な注意が必要であることは言うまでもありません。

ホルマリンは、ライフサイエンス分野では、アルデヒド基が生体組織中のタンパク質等のアミノ基と反応して架橋構造を形成することを利用して、生物の組織標本作製のための固定・防腐処理や消毒用などに用いられています。病院では、病理検査室、切り出し室、検体処置室等で用いられています。また、化学の分野では、有機合成における原料としても利用されています。

大学においては、「ホルマリン」は化学系、生物系、医歯薬系等の幅広い研究現場で用いられており、企業の研究現場も同様です。

ホルマリンはホルムアルデヒドの水溶液であり、ホルムアルデヒドは以下のような単純な構造をしています。

化学構造に対応するCAS番号は 50-00-0 です。 余談ですが、化学物質の法令や毒性を調べる際に、まず試しに、CAS番号:50-00-0 を入力することが多いので、この番号は、化学者がもっとも暗記しているCAS番号といえます。

化学物質の安全性検索ポータルサイト」や「お役立ち検索サイト」でも紹介している、NITEの化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) に、CAS番号を入力(入力は、50-00-0、 50000 のいずれでもOK)すると、国内外の該当法令と毒性情報を容易に得ることができます。

ホルムアルデヒドは労働安全衛生法の特定化学物質等であり、また毒物及び劇物取締法の劇物でもあり、取扱いには注意が必要です。ホルムアルデヒドの安衛法の作業環境評価基準で定める管理濃度は0.1ppmであり、使用する場合は、排気を十分行なう必要があります。局所排気を行なう際は、ホルムアルデヒドは空気よりもやや重いので、上方よりも下方または側方から排気した方が好ましいといえます。

以上のように、ホルマリンは、研究現場に必要不可欠なものですが、毒性、取扱いに十分に注意をして、使用していく必要があります。

※ 製品評価技術基盤機構(NITE)の化学物質総合情報提供システム「CHRIP」http://www.nite.go.jp/chem/chrip/chrip_search/systemTop

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