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らいふのもり

生命系倫理指針の改正・制定の予定

今回は、生命倫理に関する指針等について、近々に、改正3本・新規制定1本が予定されていることから、簡単にご紹介します。
これらについては、既に、審議会・パブコメ等でたくさんの情報が公開されています。

①「特定胚の取扱いに関する指針」改正1) ⇒ 今後、告示
動物とヒトの細胞を混ぜた「動物性集合胚」を動物の子宮に移植して子を産ませ、ヒトの臓器を持つ動物を作る研究を条件付きで認めたものであり、今後、動物の体内でヒトの移植用臓器を作る研究や、ヒト臓器を持つ動物で病気を再現し創薬を目指す研究などが可能となる見込みです。
■改正案概要
◇動物性集合胚の作成目的を移植用ヒト臓器の作成に関する基礎的研究に限る旨の規定(現行指針第15条第2項)を削除。
*「ガイダンス」において、動物性集合胚を用いない研究によっては得ることができない科学的知見が得られる作成目的の例として、とりまとめで示された3目的(ヒト移植用臓器作成、多能性幹細胞の分化能検証、モデル動物の作成)2)を示す。
◇動物性集合胚の作成の要件として、以下を明示。
・動物性集合胚を用いない研究によっては得ることができない科学的知見が得られること。(第12条)
1)第113回 生命倫理専門調査会 資料2(2018/10/26): https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/life/haihu113/siryo2.pdf
2)参考:特定胚専門委員会とりまとめ・委員会における議論等ー胎内移植に関する意義
①多能性幹細胞の分化能の検証:胎内での発生過程における組織や臓器等の形成状況に応じ、多能性幹細胞の分化能及び動態等について、新たな知見が得られる可能性がある。
②モデル動物の作成:ヒトの細胞からなる臓器等を持つ動物胎仔を用いることにより、胎仔期における疾患の発症や治癒のメカニズム等について、新たな知見が得られる可能性がある。また、薬の開発における非臨床試験において、毒性等に関し、より人に近いデータが得られる可能性がある。
③移植用ヒト臓器の作成:目的臓器の生体内における発生メカニズムやその機能等について、新たな知見が得られる可能性がある。

②「ヒトES細胞の樹立に関する指針」改正3) ⇒ 今後、告示
③「ヒトES細胞の分配及び使用に関する指針」の改正3) ⇒ 今後、告示
(「ヒトES細胞の使用に関する指針」と「ヒトES細胞の分配機関に関する指針」に分かれる)
ヒトES細胞の海外機関への臨床目的での分配が可能となり、また、これまでのES指針の運用状況や研究機関の要望を踏まえ、計画書の記載・変更に関する手続等の合理化が行われます。
■改正案概要
I. ヒトES細胞の海外機関分配関係
(1)海外機関への臨床目的での分配について(樹立指針、使用指針及び分配機関指針)研究に係る国際協力等の観点も踏まえ、海外機関に分配するヒトES細胞について、従来の基礎的研究目的に加え、臨床目的に供する扱いも可能とする。
(2)無償分配の在り方について(使用指針)
使用機関からの分配については、臨床応用を目的としたヒトES細胞の使用により、当該ヒトES細胞に医療上の安全性に係る情報等の付加価値が生じる場合があるため、必ずしも無償分配は求めないこととする。(樹立機関及び分配機関からの分配については、従来通り無償を原則とする。)
(3)その他
・国内においても使用機関から他の使用機関への分配を可能とする。
・ES指針が直接適用されない海外機関への分配については、これまでの海外分配計画に替えて、ES指針に準じた取扱い要件を分配先との契約等により担保し、文部科学大臣に報告することとする。
II. ES細胞を使った研究の進捗を踏まえた規定の見直し
(1)計画書の記載項目について(樹立指針、使用指針及び分配機関指針)
実態に合わせた手続の合理化として、使用計画等において「研究者の氏名・略歴・研究業績」(研究責任者のみとする)、「使用の終了後におけるヒトES細胞の取扱い」(使用終了報告書に記載する)及び「ヒトES細胞株の名称」(国内で使用実績のないES細胞のみ確認する)等の記載を求めないこととする。
(2)計画書の実質的な内容に係らない変更について(樹立指針、使用指針及び分配機関指針)
機関の長の異動に伴う国への届出の提出は不要とするとともに、計画の実質的な内容に直接関わらない変更等(修辞の変更、法令等の名称変更に伴う形式的な変更)については、倫理審査委員会への意見聴取は特に要しない旨の規定を設ける。
(3) 倫理審査委員会関係(樹立指針、使用指針及び分配機関指針)
人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成26 年文部科学省・厚生労働省告示第3 号)に合わせ、倫理審査委員会の男女構成及び専門分野に関する要件等を再整理するとともに、計画内容の軽微な変更等については書面による迅速審査が可能であることを明確化する。
(4) 指針の整備について
研究機関の要望に応じて、複雑化している「ヒトES細胞の分配及び使用に関する指針」について、分配機関を対象とする規定とES細胞の使用機関・使用者を対象とする規定の整理を行った上で、同指針を「ヒトES細胞の使用に関する指針」と「ヒトES細胞の分配機関に関する指針」に分けて整備する。
Ⅲ.その他
〇 特定胚の取扱いに関する指針(平成21 年文部科学省告示第83 号)の改正(未施行、本告示の施行以前に公布・施行予定。)に伴い、引用する条項を修正する。
〇 その他、記載の適正化・簡素化を行うなど、所要の改正を行う。
3)第 114 回生命倫理専門調査会・第 15 回タスク・フォース 資料4-1(2019/1/31) : https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/life/haihu114/siryo4-1.pdf

④「ヒト受精胚に遺伝情報改変技術等を用いる研究に関する倫理指針」制定4) ⇒ 今後、告示
本指針は、ヒト受精胚に遺伝情報改変技術等を用いる基礎的研究について、ヒト受精胚の尊重、遺伝情報への影響その他の倫理的な観点から、当該研究に携わる者が遵守すべき事項を定めることにより、その適正な実施を図ることを目的とするものです。なお、研究の要件としては、当分の間、胚の発生及び発育並びに着床に関するもの、ヒト受精胚の保存技術の向上に関するものその他の生殖補助医療の向上に資するものに限るものとされています。
■制定案概要
(1)目的、研究の要件及びヒト受精胚に対する配慮
・ ヒト受精胚に遺伝情報改変技術等を用いる基礎的研究について、ヒト受精胚の尊重、遺伝情報への影響その他の倫理的な観点から、当該研究に携わる者が遵守すべき事項を定めることにより、その適正な実施を図ることを目的とする。
・ 上記の研究は、当分の間、胚の発生及び発育並びに着床に関するもの、ヒト受精胚の保存技術の向上に関するものその他の生殖補助医療の向上に資するものに限るものとする。
・ ヒト受精胚を取り扱う者は、ヒト受精胚が人の生命の萌芽であることに配慮し、人の尊厳を侵すことのないよう、誠実かつ慎重にヒト受精胚の取扱いを行うものとする。
(2)遺伝情報改変技術等
・ 本指針の対象となる遺伝情報改変技術等とは、ゲノム編集技術その他の核酸を操作する技術とする。
(3)ヒト受精胚の取扱い等
・ 提供を受けることができるヒト受精胚は、生殖補助医療に用いる目的で作成されたヒト受精胚であって、当該目的に用いる予定がないヒト受精胚であり、受精後14日以内(凍結保存期間を除く。)のものとする。
・ ヒト受精胚の取扱期間は、原始線条が現れるまで(最大14日(凍結保存期間を除く。))とする。
・ 研究に用いたヒト受精胚は、人又は動物の胎内への移植は禁止する。
※その他に、インフォームド・コンセントの手続等、研究の体制、研究の手続等について規定
4) ・ 第108回 科学技術部会(H30/12/13) : https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000452867.pdf
・第 114 回生命倫理専門調査会 第 15 回タスク・フォース 資料3-1: https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/life/haihu114/siryo3-1.pdf

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