化学物質は、その性質を知り、適切に取り扱えば、有用なものですが、ときに、使い方が適切でなかったために不幸な事故を起こすことがあります。
2011年に明らかとなった、韓国で、加湿器により多くの方が亡くなった事件のことは、おぼえている方も多いのではないでしょうか。原因は、加湿器を殺菌するための薬剤に含まれていたPHMG(ポリヘキサメチレングアニジン)とPGH(塩化エトキシエチルグアニジン)だといわれており、加湿器にいれる水に混ぜて使用していたため、加湿蒸気と一緒に大気中に浮遊し、エアロゾルとして人の呼吸器に吸入されて問題を引き起こしたようです。
化学物質の安全性の評価においては、その曝露の方法により、経口、経皮、吸入などによる毒性評価項目があります。PHMGなどは、皮膚、即ち、経皮の毒性は比較的少なく、広く使われていたそうです。しかし、呼吸器、即ち、吸入毒性については十分な評価がされず使用されたため、問題を引き起こしたと思われます。
化学物質の一般毒性試験では、ラットなどの動物を用いた急性経口毒性試験を行うことが多いのですが、この事件は、当然のことではありますが、化学物質の曝露経路に基づいて、経口、経皮、吸入等の適切な曝露試験を選び、安全性を評価することの重要性を示しています。
世の中には、様々な化学物質がありますが、これらの性質を知り、適切に利用していきたいものです。
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