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賀建奎准教授がゲノム編集を行い双子を誕生させたと主張

中国の研究者がゲノム編集を行い双子を誕生させたと主張し、物議を醸しています。
報道では、中国・南方科技大学の賀建奎准教授は、エイズウイルスに感染している父親と感染していない母親の受精卵に対して、ゲノム編集でエイズウイルスに感染しないように遺伝情報を書き換えたと主張しているとのことです。

本当であれば、とても許しがたいことです。

何が問題か?

技術的な問題と倫理的な問題があります。

技術的には、狙った遺伝子以外のところを、間違って書き換えてしまう可能性があることです。いわゆるオフターゲット作用と言われる現象です。これにより、がんなどの予期せぬ悪影響が生じるリスクがあります。

もう一つの倫理的問題ですが、受精卵にゲノム編集をした場合、生まれた赤ちゃんのすべての細胞で遺伝情報が書き換わり、次の世代に編集された遺伝情報が受け継がれ、人類に広がります。たとえ、今回、事前に対象の家族に十分説明して同意を得ていたとしても、生まれてくる子供や人類全体に対して、賀建奎准教授だけで責任が取れない問題であることは明らかです。

ゲノム編集に関連して、今まで、「ゲノム編集の倫理的課題」「予防原則/予防的取組」「遺伝子に関連する規制」などで取り上げてきました。
日本では、平成29年9月27日に、日本学術会議から「我が国の医学・医療領域におけるゲノム編集技術のあり方」について提言※ がだされており、特に生殖医療への応用に関しては、国の指針により当面は禁止するべきであり、法規制の必要性についても検討するべきであるとしています。

そして、文部科学省と厚生労働省は今年9月28日、ゲノム編集による受精卵の研究について、基礎研究に限り認めるが、女性の子宮に戻すような医療応用は当面禁止する方針を決めました。

ゲノム編集の生殖医療への応用に関しては、多くの国で指針や法律などで禁止されており、今回の賀建奎准教授の主張に、世界中から非難の声が上がっているのは当然のことです。

今後も、ゲノム編集の問題は注視していきたいと思っています。

※:http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23-t251-1.pdf

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