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予防原則/予防的取組

化学物質やライフサイエンス分野の管理において、「予防原則/予防的取組※1」という言葉が使われることがあります。

「予防原則(Precautionary principle)」とは、化学物質やライフサイエンス分野の新しい技術に対して、環境に深刻なあるいは不可逆的な被害の恐れがある場合、科学的確実性が欠如している状況でも、規制措置を可能にする考え方のことです。「疑わしいものは禁止」論と区別するため、「予防的取組(Precautionary approach)」と呼ばれることも多いです。

1992年、リオ・デ・ジャネイロで開催された「環境と開発に関する国際連合会議」において合意された「環境と開発に関するリオ宣言」の第15原則の中で、「予防的取組」が定義され、国際的に定着しました。
さらに、環境分野での国際的な取組みに関する行動計画である「アジェンダ21」が採択され、その第19章に化学物質対策の具体的な取組事項が明記され、国際的な取組の基礎となりました。

「予防原則」の考え方は、欧州の化学物質管理規制である、RoHS指令※2、REACH規則※3に取り入れられています。日本でも、第三次環境基本計画において、「予防的取組」の考え方が取り入れられています。※1

化学物質やライフサイエンス分野の新しい技術(ナノマテリアル、ゲノム編集等)に対して、予防的取組の考え方で、行政からガイドラインがでたり、委員会で議論される等、検討が加えられています。

例えば、以下です。
【化学物質管理】
・厚生労働省労働基準局 「ナノマテリアルナノマテリアル製造・取扱い作業現場における当面のばく露防止のための予防的対応について (2009年) 」※4
・環境省 「工業用ナノ材料に関する環境影響防止ガイドライン」の公表について (2009年)※5
【ライフサイエンス管理】
・遺伝子組換え生物等専門委員会※6

規制の動向を予測するうえで、「予防原則/予防的取組」の考え方は重要です。

※1 参照:予防的な取組方法に関する国外内の考え方(環境省)(予防原則/予防的取組について欧州、OECD、WHO、日本の状況がまとめられている)
http://www.env.go.jp/chemi/communication/seisakutaiwa/dialogue/03/mat01_1.pdf
※2: 電子・電気機器における特定有害物質(鉛 、水銀、 六価クロム、PBB、PBDE、カドミウム、DEHP、BBP、DBP、DIBP)の使用制限(2006年施行)
※3: 化学物質の登録(Registration)/評価(Evaluation)/認可(Authorisation)/制限(Restriction)に関わる規則(2007年施行)
※4: https://www.jniosh.go.jp/publication/doc/houkoku/nano/files/mhlw/Notification_0207004.pdf
※5: http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=10899
※6: http://www.env.go.jp/council/12nature/y127-02.html

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