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法令

ゲノム編集の規制

投稿日:

2018/11/9に、「ゲノム編集の倫理的課題」について、取り上げました。その後、CRISPR-Cas9のノーベル化学賞(2020年)の受賞、規制の考え方の明確化、ゲノム編集技術応用食品の実用化などが進んでいます。今回、ゲノム編集の規制などの最近の状況をまとめました。

ゲノム編集とは

まず、ゲノム編集の基礎を説明します。
ゲノム編集とは、CRISPR-Cas9(2012)※1、ZFN(1996)、TALEN(2010)などを使って、ゲノムDNAを編集して遺伝子を改変する技術です。
※1: 2020年ノーベル化学賞を受賞https://www3.nhk.or.jp/news/special/nobelprize2020/chemical/news/news_08.html
従来から知られている「遺伝子組換え」に比べて、多様な遺伝子を高い効率で改変できる画期的な技術であり、「遺伝子組換え」に該当する場合は、カルタヘナ法で規制されます。※2
なお、「遺伝子組換え」への該当の有無にかかわらず、倫理の観点での規制や指針などを守る必要があります。
※2:・経済産業省、ゲノム編集技術で作出された生物のカルタヘナ法上の取扱い
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/bio/cartagena/detailed_info/genome.html
・環境省、ゲノム編集技術の利用により得られた生物であってカルタヘナ法に規定された「遺伝子組換え生物等」に該当しない生物の取扱いについて  https://www.env.go.jp/press/106439.html

ゲノム編集は、以下の3つに分類することができます。

ゲノム編集技術を利用してできた生物

ゲノム編集技術で得られた生物であっても、細胞外で加工した核酸(RNAを含む)を移入した生物は、原則として、遺伝子組換え生物としてカルタヘナ法の規制の対象となります※3。(移入した核酸(RNAを含む)又はその複製物が確実に除去されたことが確認できなければ、カルタヘナ法による規制の対象となる)
カルタヘナ法の規制対象とならない生物についても、使用に当たっては主務官庁へ情報提供が必要となります。
※3:環境省、https://www.env.go.jp/press/【資料2-1】ゲノム編集技術を活用される方へ(日本語)

ゲノム編集食品

ゲノム編集技術を応用して作られた食品(ゲノム編集技術応用食品)の食品としての安全面での取扱いについては、2019年9月に取扱要領が決定し、同年10月から適用され、規制対象外の「ゲノム編集食品」の販売が解禁されました。※4

※4:バイオステーション(ゲノム編集技術の説明やゲノム編集技術を含む品種改良のことなどの情報提供サイト、内閣府の戦略的イノベーションプログラム(SIP)が開設)https://bio-sta.jp/

ゲノム編集技術応用食品の事例

厚生労働省のHP※5 に、ゲノム編集技術応用食品及び添加物の食品衛生上の取扱要領に基づき届出された食品及び添加物一覧が掲載されています。
厚生労働省への届出では、「遺伝子の改変方法」「外来遺伝子がないことの確認方法」「改変によって新たなアレルゲンや毒性物質が生じていないか」「標的以外の部位の改変(オフターゲット)の有無」などの情報が求められます。

届出年月日

種類

品目名

開発者等・届出者

上市年月

2020/12/11

食品

グルタミン酸脱炭酸酵素遺伝子の一部を改変しGABA含有量を高めたトマト

サナテックシード
株式会社

2021/9

2021/9/17

食品

可食部増量マダイ
(E189-E90系統)

リージョナルフィッシュ株式会社

2021/10

2021/10/29

食品

高成長トラフグ
(4D-4D系統)

リージョナルフィッシュ株式会社

2021/11

※5:厚生労働省、ゲノム編集技術応用食品および添加物の食品衛生上の取扱要領に基づき届出された食品および添加物一覧、https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/bio/genomed/newpage_00010.html

ゲノム編集の倫理

2012年に、現在最も広く使われているゲノム編集技術(CRISPR/Cas9)が報告され、その後、2015年に、中国の研究者がヒトの受精卵にゲノム編集を施した研究が公表され、臨床応用の動きにつながるのではないかとの懸念が広まりました。
特に、生殖細胞系列へのゲノム編集は、その結果が患者の子孫に伝わることから、懸念が大きく、基礎研究については利益があるため進めるべきとされましたが、臨床研究については容認すべきでないとされました。
2018年11月、中国の研究者がHIV感染防止を目的とし、ゲノム編集をした双子を誕生させたとの報道がなされ※6、ゲノム編集の倫理問題についての議論が再燃し、同年12月、WHOは専門家委員会の立ち上げを表明しました。
現在、世界的に、体細胞へのゲノム編集は基礎研究・臨床応用ともに許されていますが、生殖細胞系列へのゲノム編集については、基礎研究は許されている国と禁じられている国があり、臨床応用は多くの国で禁止(禁止の方法は法律又は指針)されています。

※6: じんぶん堂、中国で誕生が確認された「ゲノム編集ベビー」いったい何が問題なのか 『ゲノム編集の光と闇』より(2020/12/11)、https://book.asahi.com/jinbun/article/13735994 

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