組織の管理などのレベル(質)の向上を目的としたさまざまな認証制度があり、ISO(国際標準化機構)により制定された規格による認証などが、よく知られていますが、教育の世界も同じで、大学においては、「大学基準協会」「大学評価・学位授与機構」「高等教育評価機構」の3団体による認証評価が行われているそうです。
これにより、必ずしも、質が保証されるわけではないことは、品質マネジメントシステム(ISO 9001)の認証を受けた企業の品質偽造が発覚したことなどから分かりますが、一つの客観的な指標にはなると思います。
医学教育においては、2010年に米国医師国家試験受験資格審査のNGO団体のECFMGから、「2023年以降、国際基準の認証を受けた医学部の出身者以外には、米国の医師国家試験の受験資格を与えない」と通告され、関係者にとって切実な問題となりました。
そこで、これに対応するため、2015年に、医学教育の分野別評価を行う組織として「日本医学評価機構」が設立され、その後、世界医学教育連盟から、国際評価機関として適格であると認証を受けました。これにより、「日本医学評価機構」に認定されれば、その大学の出身者は米国の医師国家試験の受験資格が認められることになりました。現在、既に、20校以上が認定されているとのことです。
上記のISOや医学部評価において重要なのは、認証を取得することだけではなく、これらのシステムを使って、継続的に組織・管理・活動などを改善していくことです。いわゆる、PDCAサイクル※です。
※Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を繰り返すことによって管理業務などを継続的に改善していく手法
私は企業で、ISOにも関わってきましたが、これらを導入した際に、形式的に書類を整えることに注力するあまり改善につながらず、業務の効率が落ちることがありました。ISOは、品質マネジメントシステム(ISO 9001)だけでなく、環境マネジメントシステム(ISO14001)、労働安全衛生マネジメントシステム(OHSAS 18001)などがあり、これらを別々に導入すると効率がよくありません。そこで、JQA(一般財団法人日本品質保証機構)は、これらを統合した「マネジメントシステム統合プログラム」を提供しており、事業運営上のさまざまな課題を一元化した仕組みで対応できることにつながるとのことです。重複の解消による効率向上にもなります。
このマネジメント統合システムを導入する企業も増えており、私も、統合システムでの管理、査察などの経験がありますが、確かに効率的でした。でも、これをつきつめると、結局、PDCAサイクルを回してきちんと改善を図れば、システムなどは不要ではないかとも感じたこともあります。
このように考えている組織は、ISOを返上しています。結局、自分の組織に合った管理を考えて、必要であればISOを活用すればよいということだと思います。
ISOについては、いろいろな経験をしているので、今後、機会があれば話をしたいと思っています。
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