ライフサイエンス研究を始める際に関連法令について気軽に学びたいとき、インターネットで検索すると、あらゆる法令について情報を得ることができますが、初学者にとっては、どの情報が役にたつか判断するのは難しいと思います。
そんなとき、今でもやはり、書籍を手に取ってみる方が多いのではないでしょうか。そこで、今回はライフサイエンス法令などに関連する書籍について紹介します。なお、本稿で紹介した書籍も含め、「お役立ち書籍紹介」で役立つ書籍を紹介していきますので、是非、併せて御覧ください。
法令理解の前提となる技術に関する書籍
ライフサイエンス分野の法令の理解と解釈には、科学と法律の両方の知識が必要です。法律の専門家でも、科学の知識がなければ法律の理解を深めるのは難しいといえます。逆に、科学の専門家は、法律の知識がなければ法律の理解は難しいでしょう。
研究者は科学の知識を改めて学ぶまでもありませんが、例えば、企業や大学で事務系の人が研究部門で管理の仕事をすることは、よくあることかと思います。ここでは、そのような場合に、気軽にライフサイエンス分野の技術を学べる書籍を紹介します。
はたらく細胞 コミック:清水 茜 (著)
ライフサイエンス系は、人の体の理解が基本となります。人の体は、細胞のはたらきで保たれていますが、そのはたらきは多種多様で理解するのは簡単ではありません。難しいことは、視覚的に理解するのが早道ですが、細胞を理解するのにぴったりのテレビアニメ「はたらく細胞」が2018年にテレビで放送されていました。(https://hataraku-saibou.com/ )
深夜に放送されていたので、放送を見た人は少ないかもしれませんが、細胞の中ではたらいている様々な細胞を擬人化した物語となっているので、楽しみながら学べる番組でした。具体的には、肺炎球菌、すり傷、インフルエンザ、食中毒、スギ花粉アレルギー、熱中症、出血性ショック など、様々な影響に対して戦う細胞のはたらきを、擬人化した白血球さん、赤血球さん、キラーT細胞さん、マクロファージさんらが登場して話は進みます。原作コミックは、手軽に細胞の働きを理解するのに最適だと思います。
病気がみえる:医療情報科学研究所
医療やサイエンスの世界は、一般には難解ですが、視覚に訴える図や絵を使うと分かり易くなります。本書は、国試を控えた医学生や医療関係者の多くが持っており評判の本です。
シリーズで出されており、病気がみえる vol.1消化器、vol.2循環器、vol.3糖尿病・代謝・内分泌、vol.4呼吸器、vol.5血液、vol.6免疫・膠原病・感染症、vol.7脳・神経、vol.8腎・泌尿器、vol.9婦人科・乳腺外科、vol.10産科 、vol.11運動器・整形外科、vol.12眼科など、幅広い範囲が揃っています。いろいろな病気について、図や絵を交えて視覚的に、とても分かり易く解説しています。
これらの本は、医薬品や医療機器を開発する大学や企業の研究者にも、自分の研究対象の疾病を理解するために大変役にたつ内容です。やはり病気の世界は複雑で、医療関係者以外には分かり難いので、このような分かり易い本があるのは助かります。なお、本だけでなく、アプリなどを使った電子書籍も好評のようです。
トコトンやさしいゲノム編集の本 (今日からモノ知りシリーズ):宮岡 佑一郎 (著)
最近、テレビなどでもゲノム編集という言葉を聞くことも多いと思います。「ゲノム編集」とは、ゲノムDNAを編集して遺伝子を改変する技術であり、従来から知られている「遺伝子組換え」に比べて、多様な遺伝子を高い効率で改変できる画期的な技術です。新しい技術であるため、分かり易い書籍は少なかったのですが、最近、続々と関連する書籍が発刊されています。本書では、専門家以外にも分かり易く解説されています。
法令に関する書籍
ライフサイエンス法令に関する書籍には難しいものが多く、初学者に向いたものはあまりありません。そんな中、以下の「マンガで学ぶシリーズ」は物語形式で分かり易く、初めて学ぶ人には適した書籍だと思います。
マンガで学ぶ生命倫理:児玉聡 (著), なつたか (著)
生命倫理というと、世界医師会によって作成された「ヘルシンキ宣言」や「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」などの様々な指針で学ぶことができますが、なかなか全体像をつかむのは難しいと思います。本書では、登場する高校生の体験を通して、様々な問題※が取り上げられています。少し悲しい話もあります。
※「生殖医療」「がん告知とインフォームド・コンセント」「中絶と胎児の権利」「能力・肉体の改造」「終末期医療と安楽死」「生体臓器移植」「クローン技術」「ES 細胞とiPS 細胞」「寿命と永遠の命」「脳死と臓器移植」など
マンガで学ぶ動物倫理:伊勢田 哲治 (著), なつたか (著)
動物倫理というと、「動物愛護管理法」などから学ぼうとするとハードルが高いと思いますが、本書では、登場する高校生の体験を通して、ペット、動物実験、野生動物などの現状や課題を身近なものとして学ぶことができます。
おわりに
ライフサイエンスの分野は、DNAから動物/人まで様々な大きさのものが対象となり技術や法令も多様なため、多くの書籍があります。そこで、最初にも述べたように、本稿で紹介した書籍や新刊本など、「お役立ち書籍紹介」で紹介していきますので、こちらも御覧いただければと思います。
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