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感染症法に基づく特定病原体等の管理規制

ライフサイエンス分野においては、バイオハザード防止対策として「バイオセーフティ」への取組みが重要です。今回は、「感染症法」(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)における病原体の取扱いについてとりあげます。

概要

・感染症法においては、生物テロに使用されるおそれのある病原体等であって、国民の生命及び健康に影響を与えるおそれがある感染症の病原体等の管理の強化のため、一種病原体等から四種病原体等までの「特定病原体等」と「特定病原体等に該当しない病原体等」に分類されています。
・これらの分類に応じて、所持や輸入の禁止、許可、届出、基準の遵守等の規制が設けられています。病原体等の受入れに際しては、事前の許可や届出が必要になる場合があるので、予め十分な確認が必要です。

目的・内容

感染症法の目的は、感染症の発生を予防し、及びそのまん延の防止を図り、もって公衆衛生の向上及び増進を図ることです。
感染症は、感染力や重篤性等により、一類~五類感染症、指定感染症、新感染症、新型インフルエンザ等感染症に分類されています。ライフサイエンス研究においては、感染症法に基づく、第一種から第四種までの病原体等の取扱いに十分な注意が必要であるので、ここでは、病原体の取扱いを中心に説明します。※1

※1 厚生労働省HP「感染症法に基づく特定病原体等の管理規制について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kekkaku-kansenshou17/03.html

定義

・「病原体等」とは、感染症の病原体及び毒素をいいます。
・「毒素」とは、感染症の病原体によって産生される物質であって、人の生体内に入った場合に人を発病させ、又は死亡させるもの(人工的に合成された物質で、その構造式がいずれかの毒素の構造式と同一であるもの(以下「人工合成毒素」という。)を含む。)をいいます。

病原体の区分

第一種から第四種までの「特定病原体等」と「特定病原体に該当しない病原体等」に分類されています。概要は※2 を参照してください。

【一種病原体等】病原性を有し、国民の生命及び健康に極めて重大な影響を与えるおそれがある病原体等 → 所持等の禁止
【二種病原体等】病原性を有し、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある病原体等 → 所持等の許可
【三種病原体等】病原性を有し、国民の生命及び健康に影響を与えるおそれがある病原体等 → 所持等の届出
【四種病原体等】病原性を有し、国民の健康に影響を与えるおそれがある病原体等 → 基準の遵守

※2  厚生労働省HP 「感染症法に基づく特定病原体等の管理規制について」概要イメージ 
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/gaiyou150807_1.pdf

病原体等の審査等の手続き

二~四種病原体等の所持者は、病原体の種類に応じて厚生労働省への申請・審査等を受ける必要があります。これらの手続きは※3を参照してください。
※3 厚生労働省HP 「感染症法に基づく特定病原体等の管理規制について」 二~四種病原体等の審査等手続(フロー)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/1_11.pdf

義務・罰則等

病原体等所持者は、「所持・輸入の大臣指定、許可、届出」「感染症発生予防規程の作成」「病原体等取扱主任者の選任」「教育訓練」「滅菌等(指定・許可取消し等の場合)」「記帳義務」「施設の基準」「保管等の基準」「運搬の届出(都道府県公安委員会宛)」「事故届出」「災害時の応急措置」等の法律上の義務を遵守しなかった場合、罰則等を受けます。義務と罰則※4にまとめられています。

※4 厚生労働省HP 「感染症法に基づく特定病原体等の管理規制について」 参考資料(病原体等所持者の法律上の義務・罰則等)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/sankou_1.pdf

ポイント
◇所持、輸入、譲渡し、譲受け、運搬等の行為が、義務・罰則等の対象

病原体等の名称と疾患名称、バイオセーフティーレベル

病原体等の名称と疾患名称、疾病分類、及び、バイオセーフティーレベル(BSL)をまとめた表が※5に掲載されています。これらの病原体等を取り扱う際は、病原体の種類に応じて取り扱う必要があります。

※5 厚生労働省HP 「感染症法に基づく特定病原体等の管理規制について」 病原体等の名称と疾患名称の対照表
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/hyou150521_1.pdf

施設等の基準

法律で求められる施設の位置、構造および設備の技術上の基準の抜粋が※6に示されています。病原体等の種類に応じて、これらの基準を満たす必要があります。また、二種、三種、及び四種病原体等取扱施設の例、および病原体等の保管等の技術上の基準が、厚生労働省の「感染症法に基づく特定病原体等の管理規制について」のHP※1 に示されているので、これらをもとにして取扱い、管理することが必要です。

※6 厚生労働省HP 「感染症法に基づく特定病原体等の管理規制について」 施設の位置、構造及び設備の技術上の基準一覧(法第56条の24関係)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/1_04_2.pdf

まとめ

ここでは、感染症法全体ではなく、特に重要な特定病原体等の管理規制を中心に説明しました。
感染症法では、感染症の発生予防・まん延防止のため、その他にさまざまなことが定められており、動物関連では、特定の動物の輸入規制(第十章 感染症の病原体を媒介するおそれのある動物の輸入に関する措置:サル等の感染症を人に感染させるおそれが高いものとして政令で定める動物(「指定動物」という。)等の輸入規制)などもあるので注意が必要です。
尚、二種病原体等許可所持者は厚生労働省令に従い感染症発生予防規程を作成し、厚生労働大臣に届け出ることが義務づけられており、それ以外の三種、四種病原体等に関しても内部規程を作成することが望ましいとされていることから、病原体を取り扱う際は、まず、所属する機関の規程を確認することが必要です。

ポイント
◇ライフサイエンス研究者は、病原体を取り扱う前に、「特定病原体等」に該当するかどうかを調べ、該当する場合は、法令、及び内部規程に従い、必要な手続きをとること。

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