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ライフサイエンス

生物と自己修復材料

生物の特徴の一つに、自己複製能力があります。例えば、細胞が、細胞分裂により、自身の複製を作ることです。
これに対して、化学物質は、保管しておいても、勝手に増えることはありません。有用な化学物質であれば、増えてくれるとメリットありますが、これが有害な物質だと大変なことになります。

しかし、材料のなかにも、生じた傷などを自発的に修復する材料があり、「自己修復材料」と呼ばれています。
例えば、コンクリートなどにひび割れが生じると、そのひび割れから雨などの水分が侵入しコンクリート内部にある鉄筋が腐食して、強度が低下するなどの問題が生じます。これらを自己修復することができれば、保守管理の手間・コストが大幅に削減できるため、コンクリートの自己修復の研究開発が盛んに行われています。

コンクリートだけではありません。高分子材料、セラミック、金属などの材料で、研究開発が進められています。

政府が2013年に掲げた「日本再興戦略」においても、「自己修復材料等のインフラ長寿命化に貢献する新材料の研究開発を推進する。」と記載されています。

さて、自己修復の仕組みですが、物理的なもの、化学的なもの、生物を用いるものなど、様々な方法があります。

例えば、コンクリートの自己修復で、生物を用いる方法は、簡単にいうと次のようなものです。コンクリートに、細菌と乳酸カルシウムを練りこんでおきます。コンクリートが劣化し、ひび割れが生じると水が浸入し、細菌が乳酸カルシウムを食べて、コンクリートの主成分となる炭酸カルシウムを作り、ひび割れが埋まります。この技術は、オランダで開発されたもので、會澤高圧コンクリートが販売を始めているそうです。
高分子材料の自己修復も、多くの方法がありますが、例えば、大阪大学で研究されているホスト-ゲスト相互作用を利用した方法はおもしろい方法です。ホスト分子としてはシクロデキストリン、ゲスト分子としてはアダマンタンを用いるそうです。

このように、いろいろな材料や方法で、自己修復材料が研究開発されており、今後、化学的なものが主流となるか、それとも生物的なものが主流となるか、興味深いところです。

※ 大阪大学大学院理学研究科附属基礎理学プロジェクト研究センター 原田グループ
http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/harada/index.html

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