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ドラマ「下町ロケット(ゴースト)」における特許

ドラマ「下町ロケット(ゴースト)」の放送が始まっています。
池井戸潤原作のドラマは人気がありますが、本作も面白い話になると期待しています。

さて、第2話は、「ギアゴースト」のトランスミッションが、競合企業の「ケーマシナリー」から特許侵害の指摘を受け、巨額の損害買収を求められるというお話ですが、あくまでドラマであり、分かりやすく単純化されているように思いました。

企業の技術者・研究者は、現実には、もっといろいろな対応があると感じた人が多いのではないでしょうか。

まず、企業は製品の研究・開発が終わったら、その時点で特許を出願し、その後、それなりの時間をかけて製造プロセスなどを検討し製品を販売することが多いので、ドラマでいう、他社の特許出願から公開までの18ヶ月(ドラマでは空白の18ヶ月)が大きな問題になることはあまりないかと思います。また、通常は製品販売後も継続的に他社特許情報を監視します。ドラマのような問題が頻繁に起こるようだと、企業は安心して事業活動を行えません。

また、ドラマでは、「ケーマシナリー」の顧問弁護士から、「ギアゴースト」は短期間に15億円もの損害賠償への回答を求められますが、実際は、もう少し時間的な猶予はあると思います。この期間を1年とかにすると、ドラマが終わってしまうので、2週間と短期間にしたのでしょう。

「ギアゴースト」は「佃製作所」と一緒に、「ケーマシナリー」の製品のリバースエンジニアリングにより、逆に「ケーマシナリー」による「ギアゴースト」の特許侵害をみつけ、クロスライセンスによる損害賠償の相殺をしようと頑張ります。
企業はこのような場合も想定して、それなりの数の特許を出願しているので、実際にある話だと思いましたが、これ以外にも、「ケーマシナリー」特許の無効理由を探して無効審判を請求するなどの手段もあります。

ドラマでは、最後に、「ケーマシナリー」の製品から、「ギアゴースト」特許発明にそっくりの形状をした部品がみつかります。しかし、「ケーマシナリー」の部品は複数の素材が使われているので特許侵害にはならないだろうということになり、クロスライセンスの道は断たれてしまいます。
通常は、形状から、ある機能を発揮していた場合、その素材が複数であろうと、特許侵害になることが多いと思います。

以上、企業の技術者・研究者からみると、「実際は、こうするのになあ」と思う方も多かったと思いますが、「下町ロケット」は技術者の技術へのこだわりが見所なので、そこを大いに楽しもうかと思っています。

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