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倫理

生命系倫理指針の改正・制定が告示されました

今年2月に、「生命系倫理指針の改正・制定の予定」で、”生命倫理に関する指針等について改正や新規制定が予定されていたことから簡単に紹介”しました。
その後、2月から4月にかけて、これらの指針等が告示・施行等されたので、今回、改めて紹介します。

Ⅰ.「ヒトES細胞」に関する倫理指針の改正:(平成31年4月1日告示、2019年7月1日より適用)
(文部科学省 ライフサイエンスの広場)http://www.lifescience.mext.go.jp/bioethics/hito_es.html
(文部科学省 HP) http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/04/1414990.htm
今回、従来のES細胞の「樹立」と「分配及び使用」に関する指針の2つから、ES細胞の「樹立」に関する指針、「分配機関」に関する指針、「使用」に関する指針の3つに再整理されました。なお、ガイダンスは準備中となっています。
1.改正の概要:http://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/hESCguideline2019abstract.pdf
(1)ヒトES細胞の海外機関分配関係
海外機関への臨床目的での分配を可能とする(現行指針では、基礎研究目的のみ可能)
・臨床応用を目的とする場合などにおいて、使用機関からのES細胞の有償分配を可能とする(樹立機関、分配機関からのES細胞の分配は従来通り無償を原則)
・海外への分配については、従来の事前確認から事後報告制とする(海外分配したES細胞の適切な扱いは、分配先との契約等により担保)
(2)ES細胞研究の進捗を踏まえた規定の見直し
・ 研究現場の実態に合わせ、研究計画書の記載項目の合理化、計画書の軽微変更等に関する規定の整備、倫理審査委員会の要件の再整理
・指針の利用しやすさの観点から、ES細胞の「樹立」に関する指針(文科省・厚労省共管)、「分配機関」に関する指針(文科省)、「使用」に関する指針(文科省)に再整理
2.【改正指針】ヒトES細胞の樹立に関する指針(平成31年文部科学省・厚生労働省告示第4号):http://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/hESCderivationguideline2019.pdf
3.【新指針】ヒトES細胞の分配機関に関する指針(平成31年文部科学省告示第69号):http://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/hESCdistributionguideline2019.pdf
4.【新指針】ヒトES細胞の使用に関する指針(平成31年文部科学省告示第68号):http://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/hESCutilizationguideline2019.pdf

Ⅱ.「ヒト受精胚に遺伝情報改変技術等を用いる研究に関する倫理指針」の制定:(平成31年4月1日告示、同日施行)
(文部科学省 ライフサイエンスの広場)http://www.lifescience.mext.go.jp/bioethics/embryoediting.html
(文部科学省 HP)http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/04/1414991.htm
(厚生労働省 研究に関する指針について)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kenkyujigyou/i-kenkyu/index.html
指針に適合しない研究が行われた場合は、文部科学大臣及び厚生労働大臣による公表が行われます。法律ではないので、これ以外の罰則はないようです。昨年末に、中国の賀建奎准教授がゲノム編集を行い双子を誕生させたと主張し物議を醸しました(「賀建奎准教授がゲノム編集を行い双子を誕生させたと主張」参照)が、今回の新指針を当てはめると完全に違反しています。
なお、こちらはガイダンスがでています。
1.指針の概要:http://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/Overview_Human_embryo_geneome-editing_guideline2019.pdf
(1)研究要件:生殖補助医療の向上に資する基礎的研究に限定
(2)ヒト受精胚の取扱い:
生殖補助医療に用いられなくなったヒト受精胚(余剰胚)
原始線条(※)出現まで(最長14日間)に制限
(※) 受精後に現れる筋状の構造。背骨や脊髄のもととなる。
(3)ヒト受精胚の胎内移植:ゲノム編集等を行ったヒト受精胚の人又は動物の胎内への移植禁止
(4)研究計画の確認:研究機関と国の2段階審査にて指針に対する適合性を確認
2.指針本文(平成31年4月1日公布)http://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/Human_embryo_genome-editing_guideline2019.pdf
3.ガイダンス:http://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/Guidance_human_embryo_geneome-editing_guideline2019.pdf

Ⅲ.「特定胚の取扱いに関する指針」の改正:(平成31年3月1日告示、同日施行)
(文部科学省 ライフサイエンスの広場)http://www.lifescience.mext.go.jp/bioethics/clone.html
(文部科学省 HP)http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/03/1413932.htm
・告示から少し時間が経っていますが、「特定胚の取扱いに関する指針」が3/1に改正されており、ガイダンスも公開されています。また、関連して「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律施行規則」も3/1に改正されています。
1.概要(特定胚指針の指針改正について):http://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/n2163_04.pdf
(1)研究目的:目的を限らず、幅広い研究を認める
(2)胚の取扱期間:限定せず(個別の研究計画により判断)
(3)胚の胎内移植:一定の厳格な要件の下に認め、研究機関と国の2段階で確認
【要件】
• 人の胎内に移植しないこと
• 交雑個体又はそれに類する個体の生成防止に必要な措置を講じること
• 個体産生の場合は、他の個体と交配させないこと 等
2.指針本文(平成31年3月1日改正)http://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/n2163_03.pdf
3.動物性集合胚の取扱いに関するガイダンス:http://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/n2163_06.pdf

Ⅳ.「遺伝子治療等臨床研究に関する指針」の全部改正:(平成31年2月28日告示、平成31年4月1日施行)
(遺伝子治療等臨床研究に関する指針 - 厚生労働省):https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T190301E0030.pdf
・改正指針(主な改正点:「遺伝子治療等」の定義について、ゲノム編集技術を用いた研究も指針の適用範囲とする)が4/1から施行されました。

Ⅴ.「「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行令」及び「再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行規則」の取扱いについて」の一部改正について:(平成31年4月1日通知)
(厚生労働省HP 再生医療について):https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisei_iryou/index.html
(厚生労働省医政局研究開発振興課長通知(4/1)):https://www.mhlw.go.jp/content/000499057.pdf
・厚生労働省医政局研究開発振興課長より、平成31年4月1日付けで関係機関に対して表題の通知(周知依頼)がありました。
臨床研究法(平成29 年法律第 16 号)との運用の整合性を図るため、再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行規則及び臨床研究法施行規則の一部を改正する省令(平成 30 年厚生労働省令第 140号)が施行されたことに伴い、通知が改正(上記の通知の新旧対照表を参照)され、4/1より適用されています。

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