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法令

生物多様性条約/名古屋議定書に関する最近の話題

生物多様性条約/名古屋議定書/国内ABS指針」(以下、「ABS」という。)で、海外遺伝資源に関するABSの概要について説明しました。

当初少なかったABSクリアリングハウスへの国際遵守証明書(IRCC)の登録数も増えてきており(2019/4/2現在:367件)、国際的に取り組みが進展してきています。また、日本では、2017年8月に「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する指針」(ABS指針)が施行され、国内でも徐々に浸透してきています。

そこで、今回は、ABSに関する最近の話題を取り上げます。

・企業では、当然ですが、研究内容は研究部門で把握しているので、海外遺伝資源についてABSへの対応・管理は確実に行われており、いかに権利関係を調整して利益配分を行うかが重要だと思われます。
・一方、大学は、本部で、各研究室の研究内容を完全に把握していることは少ないと思われ、教員や研究者にABSについて周知し、海外遺伝資源を適切に取り扱う体制を整えることが重要です。
・このように企業と大学では、取り組みや課題が、かなり異なりますが、以下に最近の事例を紹介します。

1.企業の取り組み例
企業の姿勢や製品のアピール等がなされています。
(1)アステラス製薬: https://ar-jp.astellas.com/jp/ir/ar2018/pdf/2018AR_96_jp.pdf のP-47「遺伝資源の利用」から抜粋
アステラス製薬は「遺伝資源についての基本的考え方」を公表し、生物多様性条約締約国会議で採択された名古屋議定書における遺伝資源の利用とその利益配分に基づき、入手に際しては提供国の関係法令を遵守し、その利用から生じる利益は提供国と相互に合意した条件で公正に配分することとしています。
(2)サカタのタネ (2017/8): https://www.sakataseed.co.jp/corporate/news/detail.php?name=20170828
植物新品種開発   → インドネシア(資源国)への利益還元 を公表

2.業界団体の取り組み例
製薬協で創薬に向けた活動や経団連で生物多様性宣言の改定が行われています。
(1)製薬協: http://www.jpma.or.jp/about/issue/gratis/newsletter/html/2019/89/89t4-04.html から抜粋
(アジア製薬団体連携会議(APAC)の創薬連携活動)
2018年4月に、生物多様性条約の遺伝資源のアクセスおよびその利用から生ずる利益配分に関する名古屋議定書(CBD-ABS/NP)を遵守し、かつ、アジアにおける天然物の創薬活用を推進するガイドライン(基本的な考え)をタイの生命科学研究所(TCELS)、台湾のバイオ医薬産業発展推進オフィス(BPIPO)とともに策定しました。
(2)経団連: http://www.keidanren.or.jp/policy/2018/084_honbun.html?v=s
「経団連生物多様性宣言・行動指針」の2-2で法令遵守を追加(2018年10月16日)
2-2 遺伝資源の利用と利益の配分にあたっては、「名古屋議定書」の国内措置(ABS指針)を踏まえるとともに、遺伝資源を取得する際には、提供国が定める法令を遵守する。

3.大学の取り組み例
(1)HP等で体制構築・対応プロセス等を公表
①東京海洋大学:https://olcr.kaiyodai.ac.jp/abs_tumsat/
②京都大学:http://respo.rp.kyoto-u.ac.jp/important
③徳島大学:http://www.tokushima-u.ac.jp/ccr/inside/abs.html
④熊本大学:https://www.kumamoto-u.ac.jp/kenkyuu_sangakurenkei/sangakurenkei/riskmanagement/abs
⑤広島大学規則:https://home.hiroshima-u.ac.jp/~houki/reiki/act/frame/frame110000849.htm
⑥横浜国立大学:http://www.ripo.ynu.ac.jp/news/334.html
(2)海外遺伝資源を利用した共同研究を推進
①筑波大学:(生物多様性条約名古屋議定書に基づくメキシコ‐日本間初の分譲承認)http://www.tsukuba.ac.jp/attention-research/p201703091100.html
②広島大学:(マラウイ共和国政府からPIC取得)https://absch.cbd.int/database/CPC/ABSCH-CPC-JP-243050
③琉球大学等:(ラオスの両生類と爬虫類の研究についてIRCC取得)https://absch.cbd.int/database/IRCC/ABSCH-IRCC-LA-241283/1

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