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メディカルサイエンス

画像診断ーラジエーションハウス

「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~ 」という放射線技師(医師)が活躍するドラマが2019/4-6にテレビで放送されていました。ドラマを御覧になっていない方に簡単に説明すると、窪田正孝さん扮する放射線技師(実は医師免許をもつ医師)が、主に放射線による画像診断により真摯に患者の診断に取り組む話ですが、こんなスーパーな技師(医師)がいたらいいのにと思わせる内容でした。
医療における放射線の利用」で放射線の利用に関して簡単に触れましたが、今回は放射線や磁気などをもちいた画像診断について取り上げます。

検査法

画像診断のための検査法としては、放射線をもちいるX線検査(CT検査など)※1、磁気と電波をもちいるMRI検査※2、超音波をもちいるエコー検査※3 などが知られています。その他、PET検査※4 はがんの検査で使われています。

※1:X線検査は最も歴史のある検査法であり、以前はフイルムを用いていたが、最近ではIP(Imaging Plate)やFPD(Flat Panel Detector)を用いることが多い。また、からだの断面を撮影するCT(Computed Tomography:コンピュータ断層診断装置)を用いた検査もよく行われている。
※2:MRI(Magnetic Resonance Imaging:核磁気共鳴画像法)は、ごく簡単にいうと磁気と電波を利用して、体内の情報を画像にする方法であり、体内の水分などに由来する水素原子などを画像化する。(参照「MRI」)
※3:エコー検査(超音波検査)(Ultrasonography)は、超音波を対象物に当ててその反響を映像化する検査法。
※4:PET(Positron Emission Tomography:陽電子放射断層撮影法)は、特殊な検査薬をもちいてがん細胞に目印をつけて撮影する方法。

画像診断

画像診断は、上記の検査法などをもちいて、人体の内部を画像化し病気の診断を行う医療技術です。
専門医が、これらの画像を観察し所見を読んだ上で診断しますが、ドラマ「ラジエーションハウス」のように放射線科の専門医が行うことが多いようです。関連するサイトとして、”画像診断まとめ”※5 では、CTおよびMRIの画像診断に必要な知識および実際の画像が掲載されています。

※5:画像診断まとめ ホーム https://遠隔画像診断.jp

AIの利用

AIと医療※6 で取り上げましたが、2000年以降のディープラーニング(深層学習)やビッグデータの登場とともに、AIは様々な分野での利用が加速しており、医療分野も大きくかわる可能性があります。具体的には、医療診断/画像診断、ゲノム医療、創薬などで活用されており、特に、画像診断はAIが得意とするところであり利用が進んでいます。
例えば、画像診断をアシストするため、「AI-RAD」という人工知能エンジンプラットフォーム が利用されています※7。また、現在、AIによる医用画像解析の研究開発や画像診断支援を進めていくために、医用画像のナショナルデータベースを構築するプロジェクト(Japan medical image database : J-MID)※8 が進められています。
AIの診断での利用における大きな課題は「責任問題」です。薬機法※9 では、薬や医療機器は国が定めた品質管理基準を満たす必要があり、リスクの大きなものはしばる必要があります。ただし、いま想定されているAIの診断への利用は、あくまで医師が診断する際に、参考となる情報を提示する診断支援システムであり、医師が介在し最終判断をするため相対的にリスクは少なく、「責任問題」が生じる可能性は低いと思われます。

※6 AI:人工知能(artificial intelligence)のことであり、人間の知的能力をコンピュータ上で実現するシステム
※7: 遠隔画像診断のドクターネット TOP>ドクターネットのサービス>画像診断をアシストする人工知能エンジンプラットフォーム – AI-RAD https://dr-net.co.jp/service/airad/
※8:国立情報学研究所(NII)、日本医療研究開発機構(AMED)、及びAMEDが支援する医学関連学会(6学会)が連携するプロジェクト
(関連情報)国立情報学研究所  医療ビッグデータ研究センター -医療ビッグデータクラウド基盤構築とAI画像解析研究- http://research.nii.ac.jp/rc4mb/
※9 薬機法: 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

おわりに

ドラマ「ラジエーションハウス」では、医師や検査技師がチームを組んで画像診断に取り組んでいましたが、今後、このチームにAIが加わり進化していくことが期待されます。

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